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東日本大震災1年 原発ノー 行進や集会 中国地方

 中国地方では11日、市民団体などが犠牲者を追悼する行事や反原発の集会を各地で開いた。被災地からの避難者や被爆者も参加。失われた多くの命を悼み、暮らしが一日でも早く元に戻り、安全な社会になるよう訴えた。

 広島市中区の原爆ドーム前には、広島、山口県などから原発に反対する約200人が集った。福島県本宮市から娘2人と西区に逃れた岡本久美子さん(37)は「苦しい生活が続く避難者には今日は何の節目でもない」と涙ながらに語った。

 一行は約1キロ離れた同区の中央公園までデモ行進。長男(3)と一緒に東京都から三次市に避難中の徳岡真紀さん(38)は「子どもを危険にさらす原発の廃炉に向け、行動を続けたい」と強調した。

 中央公園では、被爆者や核兵器廃絶を目指す市民団体が開いた集会に、2千人(主催者発表)が参加。呼び掛け人の一人、広島県被団協の坪井直理事長は、福島原発事故の被害と原爆の被害は共通していると主張。核兵器廃絶をめざすヒロシマの会の森滝春子共同代表は「政府は事故後も原発輸出に力を入れている」と批判した。

 妻と長男が安佐北区に避難中の等々力隆広さん(49)=福島市=も壇上で、「福島と広島の市民が手を携えよう」と呼び掛けた。

 中国電力が原発建設を計画する山口県上関町では、建設予定地の対岸約4キロの祝島で、建設反対を訴える集会があった。30年に及ぶ運動を振り返り、約70人全員で「原発反対」と拳を突き上げた。

 中電島根原発がある松江市の集会には約400人(同)が参加。福島第1原発から約3キロの高校に勤めていた教諭が現地の様子を報告。「故郷を元の姿に戻して」と訴えた。

 追悼行事なども各地であった。広島市中区での女性集会に参加した青木千春さん(40)=安佐北区=は、福島県飯舘村から家族5人で避難している状況を踏まえ「経験者が語り継がなければ」と述べた。中区の平和記念公園では地震発生の午後2時46分、地元高校生たちが平和の鐘を鳴らし、市民が黙とう。夕方には、キャンドル500本がともされた。

(2012年3月12日朝刊掲載)

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