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東日本大震災1年 復興・平和 重なる思い 原爆ドーム周辺 祈りの輪

 東日本大震災の発生から1年の11日、広島市や廿日市市などで、追悼行事や街頭での募金、演奏会などがあった。市民は地震発生時刻に黙とう。音楽や寄せ書きに、ヒロシマからの思いを託した。県内への避難者は苦しい胸の内を語った。中区の平和記念公園では夕方、キャンドルをともし、犠牲者を悼んだ。

 中区の原爆ドーム対岸の元安川河岸では、地震発生の午後2時46分、家族連れや被災地からの避難者たち約200人が手をつないだ。津波から逃げるよう防災無線で呼び掛ける宮城県南三陸町の女性職員の録音音声が流れ、東北地方の方角に黙とうした。NPO法人などでつくる実行委員会主催で、詩の朗読や音楽も奏でられた。

 平和記念公園では同時刻、平和の鐘が響いた。広島ユネスコ協会が、犠牲者を悼み子どもたちを励まそうと呼び掛けた。参加者は「想」「繋(つなぐ)」と書かれた紙に寄せ書き。南区のクラーク記念国際高2年加納笑さん(18)は「早く普通の生活が送れるように」と願った。

 西区民文化センターでのチャリティーコンサートでは、福島県いわき市からの避難者2人が心境を話した。安芸高田市で牧場を営む福元紀生さん(33)は「放射能に自然も心もずたずたにされた」。広島市内に息子2人と避難している佐々木紀子さん(40)は「被災者と同じ目線で未来について考えてほしい」と語り掛けた。西区や安佐南区の公民館でもコンサートがあった。

 夕方、原爆ドーム向かいに、被災地への励ましや絵を添えた500本のキャンドルが、「3・11」を浮かび上がらせた。福島市から参加した福島大大学院2年木村義彦さん(24)は「広島と福島をつなげ、一緒に生きていきたい」と訴えた。

(2012年3月12日朝刊掲載)

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