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[広島外相会合 書面インタビュー] イタリア・パオロ外相 難民や移住者の対応を

  ―外相会合への期待は。
 安倍晋三首相は主要7カ国を「価値観を共有する共同体」として強化すると宣言している。イタリアの立場は安倍首相と全く同じだ。混迷している世界で、7カ国は平和、連帯、ルールに基づく国際秩序の尊重というメッセージを発信しなくてはならない。

  ―平和のために何を話し合いたいですか。
 国際平和と安全保障に対する主な脅威についてだ。北アフリカや中東は混乱状態にあるが、限定的とはいえ希望の光も見える。(欧米など6カ国による)イラン核交渉は紛争予防外交の一つの成功物語だ。もろいとはいえシリアで停戦が実施された。リビアの政治プロセスはもはや手詰まりの状態ではない。過激派組織「イスラム国」(IS)の支配地域も縮小している。

 全ての関係当事者が対話し、協調して取り組み、必要な場合には共同軍事行動で補完してきた。この結果を踏まえ、平和を強固にする計画を始めなければならない。経済の再建を素早く、効果的にすべきだ。

 欧州の視点から見て最も重要なのは、難民の窮状、移住者への対応だ。彼らは侵略者ではない。極度の貧困から逃れようとする同じ人間だ。人道主義と、共有の責任に基づいて対応しなくてはならない。

  ―「核兵器なき世界」を支持しますか。
 イタリアは、平和で安全な、核兵器のない世界を築くという目標を(各国と)完全に共有している。国際政治の指導者たちの広島訪問は、未来の世代に対する厳粛な責任を思い起こさせ、核兵器のない世界をつくり出す取り組みに拍車を掛ける。

 国際的な安定を進め、不拡散義務を完全に履行することは、核兵器のない世界に向けた国際環境を生み出すために重要だ。核兵器保有国は重要な責任を負っているが、保有国と非保有国の双方が軍縮に協力する必要もある。これは、信用と信頼に基づく包括的プロセスにおいてのみ可能だ。

  ―広島の若者へ、平和を築くための提言は。
 世界で初めて原爆の惨状を経験した地の市民として、広島の若者は犠牲者に代わって記憶し続けてほしい。この悲惨な出来事が二度と起こらないよう、国際社会へ再確認させる一助になってほしい。

(2016年4月8日朝刊掲載)

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