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野党統一候補 自民に挑む 参院選山口 構図固まる 安保関連法・経済で論戦か

 夏の参院選山口選挙区は7日、民進党など野党3党の統一候補として新人の纐纈厚氏が無所属で立つと表明し、構図がほぼ固まった。改選1議席を、自民党現職の江島潔氏、諸派の幸福実現党新人の河井美和子氏の3人で争う。安倍晋三首相(衆院山口4区)のお膝元で経済再生を前面に押し出す江島氏に対し、安全保障関連法の廃止を掲げる纐纈氏が挑む形で進む見通しだ。

 安保関連法について江島氏の陣営は争点化を避ける方針で、論戦の行方が注目される。民進党の最大の支援母体である連合山口を含め、野党の共闘態勢が機能するか否かも焦点となる。

 「安保関連法は暴力の連鎖を生む。大学人が政治の場に足を踏み入れるのは苦渋の選択だが、立憲主義を頭から否定する安倍政権を許すわけにはいかない」。3月末まで山口大副学長だった纐纈氏は7日、山口市のホテルで開いた記者会見で力を込めた。

 纐纈氏は政治学が専門で憲法に関する著作もある。安保関連法を批判してきた言動は、審議中の法案を「憲法違反」と明言した憲法学者と重なる。陣営幹部は「安倍首相の地元で学者が自民党現職に挑む構図は、全国的にも注目を集める。著名な憲法学者を応援に招き、幅広い層に支援を呼び掛ける」とする。

 再選を目指す江島氏は「有権者が一番期待しているのは、アベノミクスによる日本経済の再生と、地方創生による地域の活性化だ」として、安倍首相の地元での圧勝を目指す。安保関連法には「日本の守りを固め、戦争をしないための法律。3月29日に施行されたが、現状をみれば、野党の批判が的外れだったと分かる」と理解を求める。

 安保関連法廃止を旗印に野党3党の支援を得る纐纈氏に対し、自民党山口県連の幹部は「相手の土俵に乗る必要はない」と冷静に構える。纐纈氏の知名度はまだ低いと分析。推薦する公明党とともに組織力で江島氏の支援を固める考えだ。

 勝敗の鍵を握る一つが、連合山口の存在だ。民進党県連幹部は「できる範囲での支援を」と期待するが、公明党県本部の幹部は「共産党も擁立に関わった纐纈氏を支援できるのか」とけん制する。連合山口の中繁尊範会長は「応援するかどうか、方向性は決まっていない。政策や考えを確認したい」と慎重だ。

 河井氏は「国際情勢が大きく変化する中で、日本を守るために安保関連法は必要。纐纈氏の主張は非現実的だ」とし、国防の強化などを訴えている。(村田拓也)

 ▽山口選挙区(改選数1、敬称略)

江島潔(59)   国交政務官  自現<公推>
河井美和子(53) 幸福県副代表 諸新
纐纈厚(65)   元山大副学長 無新<共、社推>

 ▽党派の略称 自=自民党、公=公明党、共=共産党、社=社民党、諸=諸派、無=無所属

(2016年4月8日朝刊掲載)

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