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韓国の元日本兵 広島市に原爆症認定申請へ

■記者 森田裕美

 原爆投下直後の広島で被災者の死体処理にあたった旧陸軍中部8876部隊の元隊員金興珠(キムフンス)さん(84)=韓国・ソウル市=が23日、原爆症認定申請をするため広島市を訪れた。朝鮮半島出身者が編入された部隊についてはまとまった証言記録がないため、市民団体がこの日、金さんの体験を聞き取った。

 中区のアステールプラザに集まった「韓国の原爆被害者を救援する市民の会広島支部」メンバー約10人を前に金さんは63年前の記憶をたどった。

 部隊は、特設陸上勤務第103中隊とも呼ばれた。その中には、朝鮮半島で徴兵された125人がいた。現在の南区宇品で被爆し、直後に爆心地付近へ入った。

 「終戦の放送の内容も分からず8月21日まで任務にあたった。黒こげの遺体は人間の姿ではなかった」などと惨状を語った。朝鮮半島に送還された後に放射線の影響とみられる症状が出た仲間も多く、生存者は5人だけとも明かした。

 胃がんを患う金さんは、日本での原爆症認定審査基準緩和の動きを知り、韓国原爆被害者協会の韓坂介(ハンパンゲ)副会長(71)と来日。27日まで滞在して申請手続きをするほか、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(中区)でも証言ビデオを収録する。

(2008年9月24日朝刊掲載)

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