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被爆者の記憶 私が伝える 伝承者2期生25人に委嘱 講話会拡充 毎日3回に

 広島市が養成し、被爆者の記憶と平和への思いを次代に語り継ぐ「被爆体験伝承者」の2期生25人に対する委嘱式が8日、原爆資料館(中区)であった。2期生は、22日に新たなヒロシマの語り手としてデビューする。(和多正憲)

 2期生のうち22人が出席。一人一人に1年間の委嘱書(1日付)を手渡した広島平和文化センターの小溝泰義理事長は「皆さんの活動で、必ず世界の為政者の心に変化が起こる」と激励した。

 2期生は県内外の31~78歳の男女で、3年以上の研修を終えた。中区の僧侶、渡部公友さん(45)は、体調不良で証言活動をやめた南区の被爆者新井俊一郎さん(84)から直接、記憶を受け継いだ。「怒り、悲しみといった感情まで丁寧に伝えたい」と意気込む。

 伝承者は、昨年4月に1期生50人がデビュー。センター主催の講話会などで語っている。講話会は昨年度、790回開かれ、延べ9452人が聞きに訪れたという。

 1期生のうち49人も8日、再び委嘱され、伝承者は計74人になった。センターはこれを受け、昨年度は原則、平日1回、土日曜2~3回だった講話会を、本年度から毎日3回にした。うち1回は英語枠にしている。

 センターは「語りの機会を増やし、被爆の記憶を発信する新たな取り組みを定着させたい」とする。現在、県内外の174人が研修を受けている。

(2016年4月9日朝刊掲載)

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