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台湾被爆者の証言出版 広島・長崎市民 現地12人に聞く

 在外被爆者を支援している広島、長崎の市民たちが、国交のない台湾の被爆者の証言を集めた「台湾の被爆者たち」を出版した。日本の植民地時代の留学生や軍人、女性たち12人の「あの日」と、その後の人生をつづっている。

 A5判、232ページ。在外被爆者支援連絡会(長崎市)共同代表の平野伸人さん(65)、韓国の原爆被害者を救援する市民の会・広島支部長の豊永恵三郎さん(75)たち6人の共著。2011年1月から現地で聞き取りした。

 12人は11年5月に設立された台湾初の被爆者団体のメンバーで聞き取り当時、97~67歳。爆心地から2・7キロ離れた動員先の吉島本町(現中区)の工場で被爆した蔡崇金さん(83)は「台湾で原爆のことを分かる人はおらず、ほとんど話したことはない」と明かしている。

 厚生労働省によると、台湾では18人が被爆者健康手帳を持つ。広島市役所で12日、会見した平野さんは「台湾には日本の在外被爆者援護の情報は届きにくい。

被爆者の掘り起こしと援護の充実につなげたい」と話した。

 1500部発行し、1冊1575円。韓国の原爆被害者を救援する市民の会・広島支部の中谷悦子さんTel0829(38)5316。(増田咲子)

(2012年3月13日朝刊掲載)

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