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連載・特集

米国 ジョン・ケリー米国務長官 インタビュー全文

―今回の広島訪問に何を期待しますか。
 私は上院議員として、また国務長官として何度も日本を訪問してきた。日本を訪れると、いつも日本の皆さんとすばらしい時間を過ごすことができるが、広島を訪れるのは今回が初めてだ。広島の人々、そして歴史について知識を深められることを楽しみにしている。またG7外相会合での議論にも大いに期待している。重要な戦略的課題がいくつもあり、我々は団結したコミュニティーとして協力を続ける必要がある。議長国を務める日本に感謝する。

―外相会合でどんな議論を期待しますか。
 繰り返しになるが、G7における日本の積極的なリーダーシップに感謝したい。特に岸田外務大臣には、新たな、あるいは継続中の国際的な政治・安全保障問題に取り組むにあたっての連携の強化について協議するため、外相会合を開催していただくことにお礼を申し上げたい。

 今日直面する国際平和に対する世界的な脅威には、ほとんどの場合、共同で対処する必要がある。G7のような会合は、差し迫った国際的な政治・安全保障に関する懸念に対処し、平和と安定に対する脅威への対処に必要な具体的な行動に関して統一した意見をはっきりと述べる重要な機会である。


―「核兵器なき世界」を支持しますか。
 支持する。米国は長年にわたり世界の核軍縮に決意をもって取り組んできた。オバマ大統領はその目標を支持し、核兵器のない世界に向けたビジョンと核の脅威を軽減する政策を表明した。大統領は、全世界の核軍縮をすぐに達成することはできないし、ましてや自分が生きている間に実現することはないが、米国には(これに向け)具体的な措置を取り、この国際的な取り組みを主導する特別な道義的責任があると明確に述べている。

 この政策の一環として、オバマ大統領は今月初め、ワシントンDCで第4回核安全保障サミットを主催した。サミットには安倍首相ほか50カ国を超える国の首脳が参加した。核安全保障サミットは、高濃縮ウランおよびプルトニウムの備蓄量の削減、核施設の保護や核物質の輸送のための安全対策の向上、核物質の密輸を防ぐ能力の強化に向けた具体的な取り組みを促して、核安全保障において多くの具体的で有意義かつ持続的な改善を行い、世界の安全保障に貢献してきた。

 核軍縮を追求するにあたり、我々は現実的で実践的な手法を採用する。世界の安全保障環境や戦略的安定性の問題、および友好国や同盟国に対する我々の安全保障上の責務から、軍縮を切り離すことはできない。核軍縮は、米国とその同盟諸国、ならびに全人類に対する核および安全保障上のリスクを軽減する方法で進展させなければならない。

―日本の若者への提言はありますか。
 広島の若者、そして全ての人に、関与し続け、自分の周りの世界について読み、書き、考え続けてほしいと言いたい。我々はみな同じ地球に住み、同じ空気を吸っている。話す言葉や習慣は異なるかもしれないが、互いに対し、そして次世代に対して、対話し続けるという特別な責務を負っている。他の人の考え方を進んで考慮することによってのみ、我々は真の意味で、相互理解を築き、平和のための持続的な解決策を見つけることができる。全ては人と人とのつながりにかかっている。

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