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核なき世界へ一歩 広島外相会合きょう開幕

 主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に先立つ外相会合が10日、広島市で2日間の日程で始まる。被爆地での開催は初めてで、核兵器保有国の米国、英国、フランスを含む7カ国と欧州連合(EU)の外相が出席。最終日の11日、核軍縮・不拡散への決意を示す特別文書「広島宣言」と、議論の成果をまとめた議長声明を発表。外相がそろって平和記念公園(中区)の原爆慰霊碑に花を手向け、「核兵器なき世界」実現に向けてアピールする。(田中美千子)

 核軍縮では、核戦力の透明性向上に加え、昨春の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の決裂を踏まえ、多国間協議の活性化について議論する。日本としては、広島宣言の発表をオバマ米大統領による被爆地訪問の布石にしたい考えだ。

 テロ対策や難民問題、北朝鮮による核・ミサイル問題も主要議題。南シナ海問題への強い懸念を表明する特別文書も出す方向だ。

 初日は、メイン会場のグランドプリンスホテル広島(南区)での歓迎レセプション後に討議がスタート。世界遺産の厳島神社(廿日市市)も訪れる。2日目は午前にホテルで議論後、平和記念公園を訪問。原爆資料館も見学する。最後に議長の岸田文雄外相が記者会見し、声明と広島宣言を発表する。

 開幕を前に9日、広島国際会議場(中区)に国内外の報道陣の取材拠点「国際メディアセンター」が開場した。夜には、メイン会場のホテル対岸の宇品波止場公園(南区)で歓迎のライトアップがスタート。参加国数にちなんだ7本の光がサーチライトで放たれた。

 また岸田氏は9日夜、ホテルにカナダのディオン外相を迎えて会談。外相会合で発表する「広島宣言」に関し「被爆地広島から力強いメッセージを発出できることは意義深い」と強調した。11日までの期間中、他の国の外相とも個別に会談し、連携強化を図る。

(2016年4月10日朝刊掲載)

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