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在米被爆者 医療費支給求め提訴 広島地裁 県の申請却下受け

 国外居住を理由に、被爆者援護法に基づく国の医療費全額負担を受けられないのは違法な差別として、在米被爆者13人が12日、支給申請を却下した広島県の処分取り消しと、県と国に1人当たり計110万円の慰謝料を求める訴えを広島地裁に起こした。原告弁護団によると、在外被爆者の医療費をめぐる訴訟は大阪、長崎地裁に次いで3例目。

 訴状などによると、13人は73~83歳の男性4人、女性9人。広島市で被爆し同法による健康手帳を取得。過去5年間に糖尿病などの治療を米国で受け、昨年11月~今年3月に県に医療費の支給を申請したが受理されなかった。

 不受理の理由として県は、同法施行規則が医療費の支給申請先を「居住地の都道府県知事」としていることや、医療提供体制が国内外で異なることを挙げているという。

 同法では、医療費を国が全額負担すると規定。しかし国外に住む被爆者には適用されず、別の助成事業で国が一定額を上限に負担する。厚生労働省によると、2011年は入院日数に応じた約17万~18万円の上限を超えた額が自己負担となっている。(山本乃輔)

(2012年3月13日朝刊掲載)

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