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「核の脅威 共に削減を」 ケリー長官 新枠組みはけん制 広島外相会合

 外相会合が閉幕した11日、広島国際会議場(広島市中区)で記者会見した米国のジョン・ケリー国務長官は「広島訪問が重要だと思うのは、核兵器の脅威を削減する努力を共にしなければならないからだ」と強調した。一方で、核兵器禁止の新たな法的枠組みを求める非保有国の動きをけん制した。

 ケリー氏は「特定の会議が困難に陥っている」と述べ、決裂した昨年春の核拡散防止条約(NPT)再検討会議での保有国と非保有国の対立激化に暗に言及。核削減は「世界を安全にする方法でなければならない」とした上で、安全保障と両立する道は「オバマ大統領も望んでいる核実験の禁止だ」とし、包括的核実験禁止条約(CTBT)の米議会批准の必要性を強調した。

 平和記念公園(中区)を歩き、現在の被爆地の姿を目の当たりにしたケリー氏は「日本は原爆さく裂の後の恐怖から見事に繁栄した国へ変貌を遂げた」と称賛した。同時に、原爆資料館を見学したことに触れ、「1945年8月6日は忘れることのできない記憶だが、過去にとらわれるのではなく、過去の教訓をいかに未来に生かすかが重要だ」とも述べた。

 ケリー氏は、オバマ氏の主導で4回開かれた核安全保障サミットの成果を繰り返し強調。核開発を進め挑発をエスカレートさせる北朝鮮の状況を「深く憂慮している。地域の緊張を高める言動を慎み、国際的な義務を講じるよう求める」とした。(金崎由美)

(2016年4月12日朝刊掲載)

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