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高齢化 早期解決願う 広島訴訟原告ら 熊本原爆症訴訟

 3人を原爆症と認めた一審熊本地裁の判断を支持した11日の福岡高裁判決。原爆症認定を巡る広島訴訟の原告や全国弁護団は判決を評価する一方、病気で苦しむ被爆者の早期救済を国に強く求めた。

 広島訴訟の原告や弁護団が広島市中区で会見。佐々木猛也弁護団長は「被爆者をいじめるような控訴をしたことが明らかになった」と3人の認定を不服として争った国の姿勢を批判。「病名や被爆距離にとらわれず総合的に判断し、新基準の枠を超えて勝訴したことに大きな意義がある」と力を込めた。

 白内障を患い、広島高裁で係争中の内藤淑子原告団長(71)=安佐南区=は「被爆者の高齢化が進んでおり、一日も早い解決を願っている」と強調した。

 判決を受け、東京の被爆者団体「東友会」の大岩孝平代表理事(83)たち6人が厚生労働省を訪問。「判決は後退する国の原爆症認定行政を痛烈に批判し、司法と行政の乖離(かいり)が埋められていないことを明確に示す内容」との声明文を、厚労相に提出した。

 その後の会見で、日本被団協の田中熙巳(てるみ)事務局長(83)は「認定制度の変更を急いでほしい」と求めた。弁護団連絡会の中川重徳事務局長(56)は「原告3人の勝訴は歓迎できる。今後の裁判全体の流れに大きな影響を与える判決」と評価した。(浜村満大、清水大慈)

(2016年4月12日朝刊掲載)

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