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「思い届け」市民歓迎 広島外相会合 折り鶴のレイ手渡す

 被爆地の広島市で初めて外相会合が開かれた10、11の両日、市民は核兵器のない世界の実現に期待を込め、外相たちを歓迎した。

 11日に参加7カ国と欧州連合(EU)の外相が訪れた平和記念公園(中区)。原爆慰霊碑に続く中央参道の両側で、市立9小学校の児童計約800人が各国の国旗とEUの旗を振り、笑顔で出迎えた。

 本川小6年荒谷愛莉紗(ありさ)さん(11)は、慰霊碑に献花する米国のケリー国務長官に花輪を手渡した。「平和の大切さ、戦争の悲惨さをあらためて感じて帰ってほしい。気持ちは届いたと思う」と願った。原爆資料館の元館長、故高橋昭博さんの妻史絵さん(79)=西区=が平和への思いを込めて折り鶴で作ったレイが、献花を終えた各外相に児童から贈られた。

 同資料館のピースボランティアで被爆者の宇佐川弘子さん(70)=廿日市市=は広島市での外相会合開催を「大きな節目」と受け止めた。同公園を出発する外相たちの車列を見詰め「資料館の遺品や展示資料を見て感じたことが、母国で指導者として、どういう成果をもたらすのか、この目で確認したい」と期待を込めた。

 10日はメイン会場のグランドプリンスホテル広島(南区)で歓迎レセプションもあった。岸田文雄外相と地元の官民でつくる支援推進協議会が共催し、約200人が出席。広島の酒で鏡開きし、地元食材の料理でもてなした。

 同ホテルがある南区元宇品町の住民は2月末から地域を巡回し、会場周辺の清掃をしてきた。被爆者でもある同町内会の原田芳雄会長(86)は「来て良かったと思われる雰囲気づくりはできたのではないか」と胸を張った。

 一方、厳重な警備に物々しさを感じる市民も。西区の主婦竹村美智子さん(75)は「市内の沿道で旗を振るなど、もっと歓迎ムードがあってもよかったのでは」と話していた。

(2016年4月12日朝刊掲載)

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