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イタリア パオロ・ジェンティローニ外相 インタビュー全文

質問)外相会合に何を期待していますか。
回答)安倍晋三首相は主要7カ国を「価値観を共有する共同体」として強化すると宣言しています。そしてイタリアは安倍首相と立場を全く同じにするでしょう。ますます分裂し、不寛容で、混沌となっている世界で、7カ国 は平和、連帯そしてルールに基づいた国際秩序尊重というメッセージを伝えなくてはなりません。7カ国はこれらの規範を保証する存在として、倫理的にも法的にも当然、行動する用意ができているのであり、それがこれまで世界の安定の要として役立ってきました。

同時に、私たちは自己満足に陥ってはなりません。私たちはより良い変化をもたらすために、不安定の根本原因に取り組むために、そして尊敬と信頼を築くことを目的とした真のパートナーシップの精神で他の国々と共同で活動するために、7カ国全体の経済力、文化力を影響力を持つものとして、どう活用するべきかを真剣に考える必要があります。

質問)世界平和を推し進めるために何を話し合いたいと思っていますか。
回答)広島では、私たちは国際平和と安全保障に対する主な脅威について取り組む必要があるでしょう。地中海が歴史の最前線に躍り出てきています。地中海は、世界平和が確固なものとなるか、またはうまくいかない状態となるかを定める場所となっているのです。北アフリカおよび広範囲な中東は混乱状態にありますが、限定的とはいえ希望の光も見ることができます。イラン核交渉は紛争予防外交の一つの成功物語となりました。脆弱とはいえ、ついにシリアで停戦が実施されています。リビアの政治プロセスはもはやこう着状態ではありません。過激派組織「イスラム国」(IS)が支配する地域も縮小しています。すべての関係する当事者による対話や協調した取り組み、および必要な場合には共同軍事行動での補完、それがこれらの結果を達成するために重要な役割を果たしてきたのです。私たちはこれらの進展に基づいて、平和を強化するための計画を始めなければなりません。被害を受けている人々に平和の配当を見せるために、経済の再建は素早く、そして効果的であるべきです。これが主要国が大きな違いを生み出すことのできる分野なのです。しかし懸案の問題は一つの地域にのみ限定されてはいません。北にはウクライナ危機があり、南シナ海の緊張もあります。

質問)この平和を実現するための障害を克服するために、どのような提言を行いたいと考えていますか。
回答)外交に関しては、私たちの原理原則を尊重すると同時に、アプローチについては開かれていることを意味します。欧州の視点から見て最も重要なのは、難民の窮状への私たちの対応、そして移住者への対応なのです。彼らは侵略者ではなく、極度の貧困から逃れようとする同じ人間なのです。彼らへの対応は人道主義と共有する責任に基づいて行われなくてはなりません。

質問)「核兵器のない世界」を支持しますか。
回答)イタリアは平和で安全な核兵器のない世界を築くという目的を完全に共有しています。

国際政治の指導者たちが広島に現れることは、未来の世代に対して私たちの厳粛な責任を思い起こさせることとなるとともに、核兵器のない世界のための状況を作り出すことを目的とした私たちの取り組みに拍車をかけることともなります。すべての人に変わらぬ安全を与えるという原則に基づいて国際的な安定を推進し、また同時に不拡散の義務を完全に履行することは、核兵器のない世界のための国際環境を生み出すため重要であると確信しています。軍縮と不拡散は相互に強化するプロセスなのです。核保有国は根本的な責任を負っています。同時に、核保有国と非核保有国の双方が軍縮のための状況を確実にするため協力を行う必要があります。これは信用と信頼に基づく包括的プロセスにおいてのみ可能なのです。

質問)広島の若者が平和を推進するために何ができるか、提言はありますか。
回答)世界で初めて原爆の惨状を経験した地の市民として、広島の若者は犠牲者に代わってこの記憶を保ち続け、国際社会にこの悲惨な経験が二度と行われることのないように再確認させる一助となるべきです。

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