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ユソフ氏が死去 元南方特別留学生 広島で被爆

 広島で被爆した元南方特別留学生で、ブルネイ元首相のペンギラン・ユソフ氏が亡くなったことが12日、分かった。94歳。原爆投下当時、広島大の前身、広島文理科大に在学していた南方特別留学生9人のうち、最後の存命者だった。

 東京のブルネイ大使館によると、ユソフ氏は11日午前に自宅で死去した。

 ユソフ氏は1944年、南方特別留学生として来日。45年に広島文理科大に進学した。広島大の記録によると、8月6日は、爆心地から約1・5キロにある教室で、授業中に被爆。直後には、広島文理科大の校庭で野宿をしながら日本人の救護に当たった。

 66年に英国統治下のブルネイで首相に就任。2001~02年には日本とのつながりを買われて駐日大使を務めた。広島大は13年、日本とブルネイの友好や平和活動の功績をたたえ、名誉博士号を授与している。

 越智光夫学長は「心から哀悼の意を表する。ご遺志をしっかりと受け継ぎたい」とのコメントを出した。(新本恭子)

(2016年4月13日朝刊掲載)

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