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どう見たヒロシマ会合 米英仏などの海外メディア 

「個人的感想述べられない」「70年前思う契機」「ケリー氏発言に驚き」

 広島市で10、11両日に開かれた外相会合を、五つの核兵器保有国をはじめとする海外の報道機関の特派員やカメラマンが取材し、世界へ発信した。原爆を投下した米国のケリー国務長官が初めて平和記念公園(中区)を訪れた被爆地での会合を、海外メディアの記者たちはどう見たのか。(桑島美帆、栾暁雨、小林可奈)

 外務省によると、日本と海外10カ国の計約900人のメディア関係者が取材のために事前申請。公園内の広島国際会議場に設けた国際メディアセンターを拠点に、出席した7カ国と欧州連合(EU)の外相の動向を報じた。

 米ワシントン・ポスト紙のキャロル・モレロ特派員は、ケリー氏らの原爆慰霊碑献花をはじめ、会合関連の記事を同紙ホームページ(HP)で逐次更新。「米大統領を含め、全ての人が広島を訪れるべきだ」というケリー氏の記者会見の発言も伝えた。

 ただ、広島での会合の受け止めについては、中国新聞の取材に「さまざまな意見があり、個人的な感想を述べることはできない」と語った。CNNテレビやニューヨーク・タイムズなど大手メディアの特派員たちは「職務上、言えない」などの理由で個別取材に応じなかった。

 会合に出席した他の核保有国に拠点を置くメディアでは、フランスのAFP通信東京支局のアンヌ・ベアド特派員は「70年前に広島で起きた事を思い出してもらうきっかけになった」。英フィナンシャル・タイムズのロビン・ハーディング東京支局長は「オバマ大統領の広島訪問へ向け、布石になるだろう」とみる。

 一方、メディアセンターには、外相会合のメンバーではない核保有国の記者の姿もあった。ロシアのタス通信東京支局のイゴリ・ベリャーエフ特派員は「ケリー氏が原爆資料館の感想を多く語り、驚いた。ロシアでも今回の会合は高い関心を呼ぶのではないか」と推測。中国の大手紙北京日報の童沛・東京支局長は、核兵器廃絶の難しさを認識しながらも「全ての国が核から脱却しなければならないというメッセージを被爆地から伝えたい」と話した。

(2016年4月13日朝刊掲載)

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