×

ニュース

海底の戦艦大和 デジタル映像に 来月9日から潜水調査 呉市、9月めどに公開

 戦艦大和の潜水調査を計画する呉市は13日、開始の日程を5月9日と発表した。地元の旧呉海軍工廠(こうしょう)で造られ、東シナ海へ沈んだ船体をデジタル映像で記録して公開する。

 計画では、深田サルベージ建設中国支社(呉市)が、無人潜水探査機を使って、1日当たり8時間で計10日分の映像を撮る。市の学芸員が同行。主砲塔や折れた船体とその飛散状況、正確な位置などを調べる。

 9月をめどに解析映像を呉市の大和ミュージアムで公開する。かつてテレビ局が撮影したアナログ映像は既に公開しているが、市独自の調査は初めて。調査費は8千万円。うち6400万円は国の地方創生加速化交付金を充てる。

 大和は全長263メートル、基準排水量6万5千トン。1941年に完成し、45年4月7日に米軍機の攻撃を受けて沈んだ。ミュージアムによると乗員3332人。うち3056人が亡くなった。長崎県五島市の男女群島の南約176キロ、水深約350メートルの海底に沈む。

 元乗員や遺族たちでつくる戦艦大和会の会長で、艤装(ぎそう)時に乗員だった広一志さん(92)=呉市伏原=は「沈んだ艦は海の墓標。そっとしておくのが一番好ましい」と話す。

 市は大和を産業遺産と位置付ける。市産業部は「(映像公開で)ミュージアムの魅力を向上し、観光客を増やす。ものづくりの街としてのブランド力を高めるとともに、平和の発信に役立てる」と説明する。(広重久美子)

(2016年4月14日朝刊掲載)

年別アーカイブ