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中電の供給計画 新規原発 動き取れず 上関 地元の理解目指す

 上関原子力発電所(山口県上関町)計画などの工程を未定とする方向で検討している中国電力は、新規原発について身動きの取れない状況が続いている。推進方針は維持するものの、政府方針が定まらない上、県も慎重姿勢。状況をみながら計画を練り直す方針とみられる。(山本和明)

 上関原発計画は、福島第1原発事故を受けて準備工事を中断しているが、新規立地の原発としては最も計画が進む。だが既存原発の再稼働の論議が出る一方で、新設については「正直、見通しが立てにくい」(中電幹部)状態となっている。

 中電は福島の事故後も、上関原発の重要性を強調してきた。苅田知英社長も「原子力が重要な電源であることは間違いない。上関の重要性も認識している」と話す。

 10月に期限が切れる海面埋め立て免許の延長を山口県が現状では認めない方針を示すなど、計画の進展は厳しい。ある幹部は「電力会社が原子力の必要性を説明しても理解を得にくい部分が出ている」と漏らす。地元の理解が十分でない状況で計画スケジュールを示せば、反発を招く恐れもある。

 島根原発(松江市)も同様だ。昨年3月に発表した供給計画では今月、増設の3号機が稼働する予定だった。津波対策などの安全対策に加え、制御棒駆動装置で不具合が見つかり現在は未定に。ほぼ完成した3号機の運転開始方針を示せば、福島の事故後に初めて稼働する新規原発として、議論を呼ぶのは必至だ。

 定期検査中の1、2号機も再稼働の見込みがたたない。再開に必要なストレステスト(耐性評価)の提出時期について、松井三生副社長は「既に提出した他社への国の対応をみる」と話す。再稼働の時期を見込んで供給計画に盛り込むことが困難な情勢だ。

 中電は原発の計画推進、運転開始に向け、安全対策を進め、地元の理解を得ていく方針。政府のエネルギー政策の見直しが進めば状況に合わせ、計画を練り直すとみられるが、当面は原発なしでの電力供給が続くことになる。

≪中国電力の原子力発電所≫(13日時点)

      出力(万キロワット) 現状       着工予定     運転開始・再稼動予定
島根1号機  46        定期検査で停止中 -        未定
   2号機  82        定期検査で停止中 -        未定
   3号機 137.3      建設中       -          未定
上関1号機 137.3      準備工事を中断  2012年6月★ 18年3月★ 
   2号機 137.3      準備工事を中断    17年度 ★ 22年度 ★
   ★は未定の方向で検討

(2012年3月14日朝刊掲載)

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