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がれき処理協力の動き なお根強い慎重姿勢 中国地方の自治体 安全の担保が鍵

 東日本大震災で発生したがれきの広域処理で13日、中国地方でも受け入れに前向きな動きが出た。防府市の松浦正人市長が条件付きながら、がれきの受け入れを表明。島根県の溝口善兵衛知事も県内の市町村と協議する考えを示した。放射性物質に対する住民の不安が根強い中、被災地復興の課題である広域処理への協力は広がるのか。

 松浦市長は山口県などが安全基準を示すことを受け入れの条件に掲げるが、同県は慎重姿勢を崩していない。広島県と同様に、国が説明会を開いて県民の不安を解消するように求める。

 山口県は「まず国に説明してもらうことがスタート」と主張。広島県は「処理の安全性について県民の理解を得るのが大前提。現時点で受け入れの是非を判断することはできない」とする。

 溝口知事は13日、民主党島根県連から早期受け入れの要請を受けた。「被災地の復旧に向けた重要な課題」と返答。時期は明言しなかったが、市町村と話し合う場を設ける考えを伝えた。

 がれきを受け入れる場合、県は「焼却可能なものが中心となる」と説明。三隅港(浜田市)から搬入し、中国電力三隅火力発電所で木質燃料として利用する活用策も検討中だ。

 ただ、福島第1原発事故の対応などをめぐる政府への不信感も大きい。溝口知事は安全基準の明示を国に求めるよう要望した自民党島根県連に対し、放射性物質の検査法が不明確な点などを挙げ「詳細な説明を国に求める」と強調した。

 岡山、鳥取両県では受け入れに向けた積極的な動きはまだない。政府は近く、被災地以外の都道府県に文書で受け入れを正式要請する。住民の不信感と不安を払拭(ふっしょく)し、安全を担保できる手だてを示せるかが鍵になる。(樋口浩二、野崎建一郎、門戸隆彦)

(2012年3月14日朝刊掲載)

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