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近距離被爆の体験本を英訳 児玉さん自費出版 国際政治・核被害 理解の助けに

 爆心地から約870メートルの近距離で被爆した児玉光雄さん(83)=広島市南区・写真=が、自身の被爆体験をつづった本「被爆者・ヒロシマからのメッセージ」の英訳本「HIBAKUSYA A―bomb Survivor」を自費出版した。

 広島県立広島第一中(現国泰寺高、中区)の木造校舎内で被爆。サブタイトルに「放射線と闘う至近距離被爆者・命の記録」と付けた手記には、当時の状況に加え、さまざまな臓器の細胞が傷つけられたため胃や甲状腺、皮膚でそれぞれ発症する「重複がん」になっている点を説明。分かりやすいよう、細胞の染色体異常に関する写真も載せている。

 児玉さんは「核兵器は骨の髄まで傷めてしまう。私には子どもができなかった事実もある。世界に継承を鳴らし続けたい」と話している。今年秋には、米ハワイで開かれる放射線研究者の学会で講演。この本を関係者に配る予定になっている。

 A5判洋書型、カラー、130ページ。広島市の「原爆死没者慰霊等事業」の助成を受け、500部印刷した。(二井理江)

(2016年4月18日朝刊掲載)

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