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平和と安全保障考える事典 広島市立大平和研が編さん 国際政治・核被害 理解の助けに

 広島市立大広島平和研究所(安佐南区)が、「平和と安全保障を考える事典」=写真=を編さんした。平和や戦争だけではなく、原子力、環境、人権といった異なる分野の言葉も、幅広く取り上げて解説。変わりつつある世界情勢に対応できるよう、1冊にまとめた。

 約1300語を収める。「平和」「第二次世界大戦」など、これまでの事典にあった言葉に加え、「イスラーム国」「福島第一原子力発電所」「オバマ(米大統領)のプラハ演説」といった最近の人々の生活を脅かす事柄や、記憶に新しい出来事を載せた。「トリウム」をはじめ原子力分野の元素なども説明する。

 平和研が事典を編むのは初めて。被爆地広島から発信して平和をつくることを目標に、被爆70年の記念事業として約3年かけて進めた。参考にした事典は政治学や国際関係など14冊。延べ約3万語の中から、8回にわたって項目に挙げる言葉を選び、国内外の研究者ら227人が執筆した。

 「冷戦後に大きく変わった国際政治を読み解く、新しい手引になるはず」と吉川元所長(64)は強調。争いの形は国同士が攻撃する戦争から、政府と民族が衝突する紛争や内戦に変わった。虐殺、環境破壊、飢餓―。人の「安全」を揺るがす問題を世界は広く注目するようになり、学問の領域を超えた事典作りを目指した。「調べたい時に若者も使ってほしい」

 市と、市内のNPO法人から助成を受けて2千部印刷。A5判、712ページ、法律文化社、3888円。(山本祐司)

(2016年4月18日朝刊掲載)

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