×

ニュース

がれき受け入れ 松井市長、前向き 「ヒロシマの恩返し」

 東日本大震災で発生したがれき処理で、広島市の松井一実市長は14日、「被爆した広島は全国、世界の支援でよみがえった。恩返しの意味で復興を支援する気持ちを送ることは非常に重要だ」と述べ、国が明確な安全基準を整えることなどを条件にがれきの受け入れを前向きに検討する姿勢を示した。中国新聞の取材に答えた。(藤村潤平、野崎建一郎)

 松井市長は「放射線被害に敏感な部分と支援したい部分との葛藤がある」と述べた上で、被爆後に広島が復興した歴史を念頭に「がれきを受け入れたい気持ちはある」との考えを示した。

 一方で放射性物質が含まれているかどうかの調査方法や安全基準を国が確立し、説明することが受け入れの条件とした。被爆地の役割として「放射線被害をよく知る私たちが安全基準などを整理してくれと国にきちんと言うべきだ」との見解を示した。

 また、広島県の湯崎英彦知事は14日の県議会予算特別委員会で、「安全性についての住民理解が何より必要。国が責任を持って進めるべきだ」との認識を重ねて示した。その上で「理解が得られた場合は市町との連携を図りつつ、積極的に受け入れるべきだと考えている」と述べた。県は国に住民説明会の開催を要請している。

 がれきの広域処理に向けて政府は週内に、被災地以外の都道府県や政令指定都市に協力を文書で要請する。既に東京都などが受け入れを開始。防府市が条件付きで受け入れを表明するなどの動きが出ている。一方、神奈川県は受け入れを表明したが、県民の反発を受け実現の見通しが立っていない。

(2012年3月15日朝刊掲載)

年別アーカイブ