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海兵隊岩国移転 米が断念  愛宕山売却 障壁消える 利子の負担 避けたい県

 米政府が在沖縄海兵隊の岩国移転を断念したと伝えられたことで、山口県と岩国市が国への売却を留保している同市の愛宕山地域開発事業跡地は年度内にも売却される公算が大きくなった。

 県、市は跡地事業の赤字解消へ「現実的な対応」として、いったん売却方針を決めている。年度末を目前に控えて最大の障壁が除かれた今、留保の解除は秒読み段階に入った。

 二井知事、福田市長とも外務、防衛両政務官との面談後、表向きは年度内売却に慎重な姿勢をみせた。だが、残る留保解除の条件は国が既に「約束」している項目も含み、再確認の意味合いが強い。

 国は早期取得にこだわり、防衛政務官は年度内の買い取りに自信もみせる。その背景には米海軍厚木基地(神奈川県)から米海兵隊岩国基地への艦載機移転を着実に進めたい思いがある。米軍住宅を建設する愛宕山跡地はその「受け皿」。日米協議さなかの外務、防衛両政務官の「電撃訪問」は移転の目標年2014年が迫っている現実も物語る。

 県側にも売却を先延ばししづらい事情がある。跡地を所有する公社は3月末に解散。4月以降に延期できなくはないが、利子負担が増え、事態が長期化した場合は約169億円の債務の穴埋め策も必要になる。期限ぎりぎりで「振り上げたこぶし」を下ろすタイミングを見計らうことになりそうだ。(金刺大五)

(2012年3月16日朝刊掲載)

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