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国報告に理解示す 県・市 4条件は確約文要求

 山口県の二井関成知事と岩国市の福田良彦市長は15日、米国が在沖縄海兵隊の一部の岩国基地移転を断念したとの国の報告に一定の理解を示した。ただ、移転案が急浮上した2月以降、「振り回されてきた」(二井知事)との思いから、愛宕山地域開発事業跡地(岩国市)の売却留保を解除する4条件を国に示し、外務、防衛大臣名の文書確約を迫った。

 「私たちが望む方向での説明はいただけた」(二井知事)、「不安、懸念に一定の整理ができた」(福田市長)。山口県庁、岩国市役所で国の説明を受けた両トップは、日米両政府の統一見解をこう評価した。

 一方で愛宕山跡地の売却留保の解除には慎重な姿勢もみせ、二井知事は「市とよく協議して今後の対応を考える」。福田市長は「米側から岩国に対して明確に追加的移転はないと受け止めてよいか」と念押しした。

 県は米側の岩国移転の否定を大前提とした上で、①米軍再編を一体的に捉えるパッケージ論は維持されている②米空母艦載機の恒常的な離着陸訓練(FCLP)施設を岩国基地や周辺に整備しない③再編に対する県市の基本方針を尊重して対応する―の3点を解除の条件としてきた。

 さらに15日の両政務官との面談で二井知事は、岩国基地周辺の地域振興策も条件に上乗せした。早速、16日付で国に4点を文書で照会し、愛宕山跡地の買い取りを年度内に決着させたい防衛、外務の両省に「満足いく回答」(二井知事)を求めることにした。

 両政務官は「文案を受け次第、速やかに答えを出したい」と前向きな姿勢を示した。二井知事は来週にも福田市長と協議する意向を示し、さらに外相、防衛相と面談し、文書での「確約」を引き出して跡地売却を最終判断したい構えだ。(山田英和、大村隆)

(2012年3月16日朝刊掲載)

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