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在外被爆者 集団提訴へ 6日に第一陣 国に賠償求める

 日本国内に居住していないことを理由に、健康管理手当を打ち切られるなど被爆者援護法から切り捨てられ、精神的損害を受けたとして、在外被爆者が国に賠償を求める集団提訴に入ることが3日、分かった。韓国の被爆者は海外最多となる約2500人。関係者によると、韓国原爆被害者協会を通して委任状が集まり次第、広島、長崎、大阪の3地裁に順次提訴する予定。

 早ければ来月中にも第1次提訴を予定しており、5日の会合で正式に決定する。在韓被爆者の提訴に先立ち、6日には米国とブラジル在住の被爆者計163人が広島地裁に提訴する。

 被爆者の出国で健康管理手当を打ち切るとした1974年の旧厚生省局長通達(402号通達)を違法とし、原告1人当たり120万円の国家賠償を命じた韓国人元徴用工訴訟判決が昨年11月、最高裁で確定。これを受け、厚生労働省は今年8月、国に裁判を起こして裁判所が事実認定すれば、一律120万円を支払うと表明していた。

 韓国の原爆被害者を救援する市民の会(市場淳子代表)は「高齢化する被爆者に再び裁判を求めるより、本来は請求があれば賠償と謝罪をするべきだ。厚労省は、北朝鮮を含め、すべての在外被爆者に慰謝料を取得できる権利があることを周知徹底してほしい」としている。

(2008年10月4日朝刊掲載)

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