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社説・コラム

『この人』 広島労働局長に就任した 内田昭宏さん 

女性活躍へ 企業後押し

 就任翌日の今月1日、女性活躍推進法が全面施行された。一定の規模以上の企業は女性の登用目標などを盛り込んだ行動計画の策定と、労働局への届け出が必要となった。厚生労働省の集計では、広島県の届け出率は全国で最低。県と協力し、未届けの企業の経営者に計画の策定を呼び掛けていく考えだ。「目指すは、全国でもトップの女性活躍推進県」と力を込める。

 「日本の最重要課題は人口減。安心して働けなければ、子どもを産み育てようとは思わない」と説く。雇用環境の整備を強調し「主に男性が猛烈に働いて、何とかなるという時代ではない」と話す。

 労働行政は、対「人」。人の生活、人生に大きく関わる。そのため「地域に密着し、ニーズを把握することが必要」とし、阪神大震災の5カ月後に赴任した神戸での経験を振り返る。

 1995年6月、国家公務員が都道府県に勤務する地方事務官制度で、兵庫県労働部職業安定課長に就いた。被災地では、企業の操業停止や失業が相次いだ。地元の要請を受けて、雇用調整助成金の延長、仮設住宅を回る相談員の予算措置を国に要望し、実現させた。神戸で再認識した地域密着の姿勢は、今なお大切にしている。

 2007年3月から2年余り、長崎労働局長を務め、被爆地での勤務は2度目。「地域の平和に対する思いを強く実感する」と語る。コーラスが趣味で、自宅のある川崎市の市民合唱団に入り、広島でも入団を望む。自宅に妻と愛犬を残し、広島市南区の官舎で暮らす。横浜市出身。(小林可奈)

(2016年4月28日朝刊掲載)

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