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島根1号機廃炉計画を県市に示す 中電、30年の概要説明

 中国電力は28日、島根原発1号機(松江市鹿島町)の具体的な廃炉工程を示す「廃止措置計画」の原子力規制委員会への申請について、立地する島根県と松江市に事前了解を申し入れた。昨年4月末の廃炉から約1年、中電で初めてとなる廃炉作業が本格的に動きだした。

 中電の清水希茂社長が市役所に松浦正敬市長、県庁に溝口善兵衛知事を相次いで訪れ、2016年度から30年間で廃止措置を行う計画の概要を説明した。

 作業工程は4段階。解体工事の準備に約6年間、原子炉周辺設備の解体、原子炉本体の解体、建物の解体に各約8年間を費やし、45年度までに完了する。1号機燃料プール内の使用済み核燃料722体は、29年度までに青森県六ケ所村の再処理工場に搬出するとしている。解体で発生する低レベル放射性廃棄物は6080トンと見込むが、処分方法は未定。

 松浦市長は「廃炉になった他の原発に比べると(使用済み燃料の搬出は)かなり前倒しでやっている」とし「廃炉はできるだけ早く進めてもらいたい」。溝口知事は「長い時間がかかる作業なので、計画の修正もあり得る。計画の審査は規制委にきちんとやってもらう」と申請自体は否定しない考えを示した。

 清水社長は「外部に放射性物質を出さないことはもちろん、作業員の安全を第一に対応のスピードを上げたい」と話した。

 原発30キロ圏の鳥取県と、出雲、雲南、安来、米子、境港の5市にも中電の幹部4人が説明。同県の平井伸治知事は「専門家や米子、境港市、県議会の意見を聞いて対応を考えたい」と述べ、中電に対して十分な住民説明の機会や安全対策を求めた。

 島根県と松江市は、議会や周辺自治体の意見も聞いて申請を認めるかを回答。中電は了解が得られ次第、計画を規制委に提出する。(秋吉正哉、松島岳人、川崎崇史)

(2016年4月29日朝刊掲載)

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