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【解説】島根1号機廃炉計画 廃棄物の処理不明確

 中国電力が28日、島根県と松江市に伝えた島根原発1号機の廃止措置計画では、原発から出る低レベル放射性廃棄物の処理方法は明確には示されなかった。完了まで30年間とした廃炉作業の道筋は、まだはっきり見えていない。

 計画によると、1号機の廃炉で発生する低レベル放射性廃棄物は6080トン。必要となる時期までに搬出先を決めるとした。それまでは敷地内で保管するという。松江市の松浦正敬市長が敷地外で処分するよう求める中、搬出先の決定は先送りした格好である。

 2001年に廃炉作業を始めた日本原子力発電東海原発(茨城県東海村)は、低レベル放射性廃棄物の処分方法が決まらず、計画を2度延期せざるを得なかった。容易に解決できる問題ではない。

 もう一つの課題は、使用済み核燃料の処理である。中電は29年度までに運び出すと計画に明記した。ただ、完成時期が20回以上も先送りされてきた青森県六ケ所村の再処理工場が稼働しなければ、計画は実現しない。

 使用済み核燃料を巡っては、松江市が課税を検討する動きがある。燃料の搬出が遅れて税負担が増えれば、現在、試算している廃炉費用約382億円に加え、さらにコストが膨らむ可能性がある。(河野揚)

(2016年4月29日朝刊掲載)

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