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「力の続く限り教壇に」 ノートルダム清心学園(岡山市北区)の渡辺理事長 旭日中綬章 決意を新た

 29日付で発令される春の叙勲で、「置かれた場所で咲きなさい」などの著書で知られるノートルダム清心学園(岡山市北区)の渡辺和子理事長(89)=同=が、私学振興功労で旭日中綬章を受章する。「続けられる限り、教壇に立ちたい」と決意を新たにする。

 1956年にナミュール・ノートルダム修道女会に入会し、63年に36歳でノートルダム清心女子大(同)初の日本人学長となった。90年から同学園理事長。50年以上、学生たちに寄り添ってきた。

 東京にいたとき、陸軍教育総監だった父が、二・二六事件で凶弾に倒れる姿に直面した。父の死後、母から厳しくしつけられる中、自分を変えたくて18歳で洗礼を受けた。

 縁もゆかりもない岡山に赴任し、若くして学長職。人間関係にも悩んだ。「うまくいったら感謝。うまくいかなくて当たり前」との母の言葉を胸に、置かれた場所を居場所と思って生きてきた。

 学生には自ら考えて行動し、責任は自分で取る重要性を教える。「環境は選べなくても、そこでどのように生きるかは選べる」からだ。

 89歳の今も毎週、同大で人格論を講義する。「学生はかわいいし、しっかり話を聞いてくれる。学生を前に倒れられるならそれが一番の願い」(加茂孝之)

(2016年4月29日朝刊掲載)

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