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被爆者、訪問促進に期待 広島市長メッセージ 「物足りぬ」の声も

 広島市の松井一実市長は、スイス・ジュネーブで2日に始まった核軍縮に関する国連作業部会の会合で、世界の指導者の被爆地訪問や核兵器禁止条約の交渉を始めるよう呼び掛けた。広島の被爆者からは市長のメッセージに対し、評価と注文の声が上がった。

 松井市長は、平和記念公園(中区)を先月訪れたケリー米国務長官の「核兵器のない平和な世界をつくるために尽力しなければならない責任を思い起こさせてくれた」との発言をメッセージで紹介した。

 広島県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之副理事長(74)はこれを評価。「発言が広がり、オバマ大統領のみならず、他の指導者の被爆地訪問につながれば」と期待した。その上で「核兵器は絶対悪との考えを保有国と非保有国が共有し、廃絶の議論を進めるべきだ」と強調した。

 一方、もう一つの県被団協(佐久間邦彦理事長)の大越和郎事務局長(76)は、核兵器の「非人道性」の言葉がメッセージに入っていなかった点を挙げ、「ヒロシマの市長の訴えとして少し物足りない」と指摘。「禁止条約の交渉開始を後押しするため、被害の実態をもっとストレートに訴えてほしかった」と話した。(水川恭輔)

(2016年5月3日朝刊掲載)

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