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主人公の足跡 戦時を実感 アニメ映画「この世界の片隅に」 被爆電車で原作者トーク

 戦時中の広島、呉を舞台にしたアニメ映画「この世界の片隅に」(10月公開)の主人公が生まれ育った中区の江波地区を巡り、呉へ嫁入りした道中の一部を被爆電車でたどるイベントが8日、広島市内であった。地元有志でつくる「支援する会」が企画、約50人が参加した。

 午前の部では、参加者は江波二本松集会所で大岡貴美枝さん(94)から、戦前から戦時中にかけての江波の様子を聞いた。大岡さんは「天満川で捕まえて食べたカブトガニのおいしかったこと」などと思い出を語った。その後、地区を散策した。

 続いて江波―広島駅間の被爆電車に乗車。映画の原作者で西区出身の漫画家こうの史代さん(47)が作品にちなんだ話を交えて語った。電車が八丁堀を通り掛かると「主人公は家の手伝いが忙しかったが、この辺りを歩いたかもしれない」と話した。午後の部の参加者は、広島駅から江波に向かう逆の行程をたどった。

 参加した大学教員谷口泉さん(49)=西区=は「いろんな話を聞き昔の江波の様子がリアルに感じられた。映画の公開が今から楽しみ」と話していた。(石井雄一)

(2016年5月9日朝刊掲載)

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