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「大和」調査へ鹿児島出航 あす沈没海域に到着

 広島県呉市が派遣する戦艦大和の潜水調査船「新日丸」(697トン)が10日、鹿児島市の鹿児島谷山港から出航した。

 調査船は、大和ミュージアム(呉市)の学芸員1人、市産業部職員2人、本紙記者1人を含む計30人が乗り込んだ。雨が降りしきる中、午前9時50分ごろ離岸。比較的穏やかな鹿児島湾内で早速、無人潜水探査機を深さ約200メートルの海中に降ろし、映像の映り具合などを確認した。午後からは船内で、学芸員と探査機を操るオペーレーターたちが、本番について綿密に打ち合わせた。

 調査する現場は、長崎県五島市男女群島の南176キロの東シナ海。波が高いことが予測されるため、当初計画を1日遅らせ、12日午前に到着する。船上で慰霊祭をしたのち、天候を確認しながら、調査を開始。学芸員が探査機の映像を船内のモニターで確認する。

 大和が建造された呉市は2005年、大和ミュージアムを開館した。昨年度、来場者がトータルで1千万人を突破し、観光の主軸を担う。今回の調査で撮影するデジタル映像を公開し、さらなる魅力アップを目指す。乗員3056人が犠牲となった悲劇を踏まえ、戦争の悲惨さを考える題材としても後世に残す。

 調査船に乗り込んだ呉市産業部学芸課の新谷博課長は「街の象徴であり、平和の大切さを訴える大和の姿を、正確に記録してきたい」と話していた。(今井裕希)

(2016年5月11日朝刊掲載)

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