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広島県・市 要請が結実 強まる歓迎ムード オバマ氏27日広島訪問

 正式発表されたオバマ米大統領の広島訪問。地元自治体の広島県と広島市にとっては、歴代の駐日米大使らを通じた要請が結実した形だ。県と市は、被爆の実態と「核兵器なき世界」への願いを知ってもらうため歓迎ムードを強める。(渡辺裕明)

 市は2009年10月から15年12月まで計5回、オバマ氏宛てに被爆地訪問を求める要請文を送った。秋葉忠利前市長が09年4月のオバマ氏の「プラハ演説」に呼応し、核兵器廃絶の実現に向けた国際世論を盛り上げようと「オバマジョリティー」との造語を作ってPRするキャンペーンを展開した経緯もある。

 11年4月に就任した松井一実市長は、東京の在日米大使館を訪れジョン・ルース前大使、キャロライン・ケネディ大使と面談を重ねた。原爆の日の平和記念式典で読み上げる平和宣言にも、14、15年はオバマ氏の名前を挙げて各国の首脳たちに被爆地を訪れるよう訴えた。

 松井市長は今月2日、スイス・ジュネーブでの核軍縮の進展を目指す国連作業部会で各国にメッセージを発信。「広島、長崎の市民は、世界の指導者に被爆地を訪問し『こんな思いを他の誰にもさせてはならない』という被爆者の真剣な願いを感じてもらいたいと望んでいる」と訴えた。

 一方、広島県の湯崎英彦知事は14年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第3回準備委員会、15年の同会議でそれぞれ訪米した際にワシントンのホワイトハウスを訪れ、米政府関係者にオバマ氏の広島訪問を要請。14年には在日米大使館でケネディ大使と懇談し、後押しを依頼した。オバマ氏は、大使らの意見を踏まえた上で最終決断したとみられている。

(2016年5月11日朝刊掲載)

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