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「大和」の潜水調査開始 東シナ海で呉市 映像撮影 慰霊祭も

 呉市が派遣している戦艦大和の潜水調査船「新日丸」(697トン)は12日午前6時ごろ、大和が沈む東シナ海の海域に到着し、大和のデジタル映像の撮影を始めた。

 調査船は、鹿児島湾から14時間かけ、長崎県五島市男女群島の南176キロの沖合に着いた。この日、付近の波は穏やかで、甲板上は日中、照りつける太陽で汗ばむ陽気だった。

 一行は調査に先立って、慰霊祭を開いた。祭壇をこしらえ、戦艦大和の公試運行中の様子を写した写真を飾った。全乗員30人が、亡くなった大和の乗員3056人に黙とうをささげた。

 市産業部学芸課の新谷博課長が小村和年市長の慰霊の辞を代読。「大和を全世界に発信していくことはふるさと呉市の使命。調査を通して、大和が残したメッセージを後世に伝えていく」と誓った。その後、海に花束を投げ入れ、大和にも積み込まれていた呉市の地酒「千福」を注いだ。

 慰霊祭後、調査を開始。調査船から水深350メートル辺りまで、無人潜水探査機を降ろした。「大和だ」。20分後、学芸員が見つめる船上のモニターに、独特の形状の艦首部分が現れた。探査機をゆっくり動かすと、菊の紋章もはっきりと映し出された。紋章の大きさは、ラインレーザーで測り、写真を撮った。

 ほかに、離断した艦尾部分の全体も撮影した。調査は約10日間を予定している。(今井裕希)

(2016年5月13日朝刊掲載)

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