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詳細調査を広島市に要望 部分的に残る被爆建物39件 元教授石丸さん

 建て替えなどにより広島市内で被爆建物が部分的に残っている事例の暫定リストを、広島大元教授の石丸紀興さん(75)=南区=が作成した。旧広島銀行銀山町支店(中区)の玄関など39件。13日、市に提出し、被爆の記憶を継承するため、詳細な調査と公開を要望した。

 市は被爆建物87件を登録しホームページ(HP)に掲載しているが、部分保存は対象外。被爆建物を調査、研究してきた石丸さんは、所有者が部分的に保存したモニュメントや、あまり知られていない建物の一部分などをリスト化した。

 39件は、被爆直後に県の臨時庁舎となった同支店のほか、広島赤十字・原爆病院(同)旧本館の爆風でゆがんだ窓枠など。爆心地からの距離、保存経緯のほか、所有者が公開しているかどうかといった点も記した。

 石丸さんからリストを受け取った末定勝実・被爆体験継承担当課長は「前向きに検討したい」と応じた。

 石丸さんは「全体保存が望ましいが、部分保存も被爆の歴史を刻む。暫定リストをたたき台に市として調査し、街中で存在に気付いてもらう取り組みを」と話した。(水川恭輔)

(2016年5月14日朝刊掲載)

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