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社説・コラム

[被爆者からオバマ氏へ] 決断に人間性感じた 佐古美智子さん=廿日市市

  ≪広島女子商業学校(現広島翔洋高)2年の時、爆心地から約1・6キロの鶴見橋の東側付近(現広島市南区)で被爆。1955年に渡米し、顔のケロイドの治療を受けた≫
 原爆で焼かれた自分の顔を初めて見たのは、いつだったか。家じゅうの鏡を祖母が全て隠していたから。「原爆を落とした国になぜ行くのか」。渡米治療が決まり、何度もその質問を受けた。少しでも元の顔に戻るならどこへだって行く。その一心で米国に飛んだ。

 海を渡り、国は違えど人はみんな同じだと知った。ホームステイ先の夫妻は、早くに両親を亡くした私を実の娘のように扱ってくれた。温かさがうれしく、帰国後も3度、広島を訪ねてくれた。滞在中に真珠湾を訪れ、初めて日本の加害に気付かされもした。受けた傷は違うとしても、犠牲者にはかわりないと思うようになった。

 戦争が人間に非道な行いをさせる。オバマ大統領の訪問決断には人間性を感じた。戦争で亡くなった全ての人を思い、原爆慰霊碑に花を手向けてほしい。核なき未来に目を向けてもらいたい。

 78年には、上院議員の叔父とともに広島を訪れた20歳のキャロライン・ケネディさんと面会した。かわいらしい女性だったと記憶している。今、駐日米大使として大統領に広島訪問を進言した一人だという。広島での経験が彼女を突き動かしてくれたのかと思うと、うれしい。(益田里穂)

(2016年5月15日朝刊掲載)

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