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「大和」の謎へ一歩ずつ 東シナ海 呉市潜水調査 靴底・水筒… 乗員遺品の撮影も

 広島県呉市が派遣した戦艦大和の潜水調査船「新日丸」(697トン)は14日、東シナ海で3日目の撮影を終えた。悪天候で調査海域への到着こそ1日遅れたが、その後は順調。巨艦の謎に一歩ずつ近づいている。(今井裕希)

 学芸員は午前8時から、船内モニターの前に張り付く。オペレーターと声を掛け合いながら、潜水探査機の映像を確認する根気のいる作業だ。

 息抜きは、調理師2人が作る1日3回の食事。船上とは思えない充実ぶりだ。13日の夕食はマーボー豆腐、マグロの刺し身、マカロニサラダだった。

 海面にうねりはあっても、比較的穏やかな日が続くおかげで、船酔いはない。日頃より栄養バランスの良い食事を楽しめている。

 あてがわれた4人用の部屋は、20平方メートル弱に2段ベッドが2台置かれている。「ドアを静かに閉める」が狭い船内での鉄則だ。

 シャワーは2カ所にあり24時間使える。道岡尚生学芸員は「大和は海水で風呂を沸かした。風呂も洗濯も真水を使える今は便利だ」と教えてくれた。

 調査船には乗員全員が、最大20日間生活できる食料と水が積まれている。市産業部学芸課の新谷博課長は「調査海域に向かう途中は、内臓ごと揺すられる感じできつかった。しかし、当初の予想以上にきれいな映像が撮れているので、やり抜かなければという気持ちがより強くなっている」と話していた。

 14日の調査は、艦央と艦尾部分を念入り調べた。靴底や水筒など乗員の生活を感じさせる遺品も今回初めて撮影できた。15日は午後から天候が悪くなる見通し。16、17の両日は鹿児島県枕崎市の岸壁に一時避難する予定だ。

(2016年5月15日朝刊掲載)

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