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採択判断の期間延長 呉教科書問題 市教委が改善策

 広島県呉市立中学の社会科教科書の選定をめぐる問題で、市教委は12日、臨時の教育委員会会議を開き、改善策を決めた。採択を判断する期間を延長し、資料の記述ミスなどをチェックする体制を強化する。

 選定に先立ち、教員などでつくる調査・研究委員会が、各社の教科書を調べる期間は3カ月だった。改善後は約1カ月延長して4カ月とする。調査・研究委がまとめた資料は、担当の本人以外を交えてダブルチェックする。

 選定の公正さに疑いを生じさせないための対策も盛り込んだ。市教委の指導主事は選定委員から外し、調査・研究委員にする。

 呉市がことし4月から使い始めた育鵬社(東京)の社会科の教科書を巡っては、選定委員が判断の資料として使う「総合所見」に1054カ所の誤記が見つかった。この日の会議で、市教委学校教育課の多幾山晃年課長は、誤りの原因について、調査期間が短く、チェックが不十分だった▽指導主事から調査・研究委への指示が不明確で、写真や図表の数え方、調査範囲にずれがあった―など問題点を挙げた。

 市教委は2018年の市立小学校の教科書選定から、改善策を実行する。中村弘市教育長は「誤りを重く受け止め、次の選定では改善策を徹底する」と話していた。(小笠原芳)

市民団体は追及を継続 呉市教委の教科書選定改善 集会で確認

 呉市立中学の社会科教科書の選定を巡って、市教委の臨時教育委員会会議が改善策を決めた12日、判断に使う資料の誤りを指摘した市民団体「教科書ネット・呉」は、市役所内で集会を開いた。今後も問題の追及を続ける方針を確認した。

 メンバーと市民合わせて約30人が参加。市教委の指導主事が、各社の教科書を調べる調査・研究委員を務める改善策について、メンバーの是恒高志さん(61)は「市教委の意向が影響しないよう、調査・研究委員を教員や校長だけに任せるべきだ」と主張した。

 教科書選定の基となる評価基準を明らかにするよう求めて、教科書ネットが4月下旬に出した請願に、市教委が回答していない点について、中室茂さん(67)は「諦めずに請願を続け、答えを引き出したい」と話した。集会では、呉市と同様に育鵬社(東京)の教科書を選定した大阪市での市民活動の報告もあった。(見田崇志)

(2016年5月13日朝刊掲載)

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