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広島被爆者 再考訴え 大統領との面会 困難な見方 オバマ氏27日広島訪問

 オバマ米大統領が広島市を訪れる27日に被爆者と会うのは困難との見方を米政府当局者が示したことに、広島の被爆者たちは16日、米側に再考を訴え、日本政府に働き掛けを強めるよう求めた。

 「被爆者の苦しみや訴えを直接聞けば、オバマ氏が発する核兵器廃絶のメッセージは一段と力強くなるのに」。4月に広島市であった外相会合で参加7カ国のうち5カ国の外相夫人に体験を証言した被爆者の池田精子さん(83)=安芸区=は残念がった。この時も外相本人が聞く機会はなかった。「被爆者は老い、この先長く伝えるのは難しい。最後の機会と思ってしっかり考えてほしい」

 一方、オバマ氏は訪問時、米兵や自衛官らと面会する方向で調整中という。広島県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之副理事長(74)は「なぜ少しでも被爆者と面会できないのか」と首をかしげる。

 松井一実市長は13日、被爆者と対面する機会を設けるよう外務省に要請する考えを示していた。中泰弘・米国大統領受入担当課長は「まだ正式に要請していない。市としては面会時間を取ってほしい」と話す。

 もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(71)は「日本政府が米国に熱意を持って働き掛けるべきだ。日米同盟のアピールが訪問の主目的にならないか懸念が膨らんでいる」と話した。(水川恭輔)

(2016年5月17日朝刊掲載)

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