×

ニュース

原爆研究 35年前の結晶 広島大、絶版本を復刻 

 広島大(東広島市)は4月、1977年に発行した「原爆と広島大学『生死の火』学術編」を35年ぶりに復刻する。原爆に関連する同大の医学研究を中心にまとめた同書は現在は絶版状態。復刻版は放射線災害からの復興を担う人材養成プログラムの教材にも活用する。

 復刻版はB5判、314ページ。カバーをつける以外は体裁も35年前と同じにする。内容は原爆による健康被害の調査や研究結果が中心で、がんや白内障など34節に分けてまとめている。原爆ドームの保存や平和教育の歴史も紹介している。

 同書は教職員たちでつくる同大原爆死没者慰霊行事委員会が、被爆30年の追悼事業の一環として編さんに取り組んだ。関係者に配った非売品という。

 同大は、東京電力福島第1原発事故を契機に、被爆地の復興の歩みが伝わる同書の価値を再確認。復刻を決めた。執筆した研究者や遺族から著作権を譲り受けた。

 浅原利正学長は「復興の様子が当事者として書かれており、今の学生にとっても有意義なものだ」と力を込める。2100円。広島大学出版会Tel082(424)6226。(山田祐)

(2012年3月23日朝刊掲載)

年別アーカイブ