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ヒロシマの願い 命の詩画 原爆小頭症 川下さん東区で初個展 ドームや花 感性豊か

 原爆小頭症患者の川下ヒロエさん(70)=広島市東区=が17日から、初めての詩画展を同区牛田本町のギャラリーで開く。「核兵器廃絶への願いや、身近な人を大切にする気持ちを伝えたい」。ヒロシマの風景などに感性豊かな言葉を添え、平和の尊さを訴える。6月26日まで。(菊本孟)

 色紙サイズを中心に水彩絵の具で描いた約50点を展示。原爆ドームと黄色い花の作品は、原爆の惨禍と復興した今を表現した。「小さな花たちの 命をけさないでね」などとする詩を入れた。

 母親の妊娠初期に胎内で原爆に遭った影響で、生まれつき知的、身体障害がある原爆小頭症患者。川下さんは20歳まで生きられないとも言われた自身についても書いた。「私は70才 いまだにいきている かみさまに いかされている」

 昨夏、患者の支援を続ける「きのこ会」を通じ、会場の「古民家ギャラリーうした」を経営し、芸術活動もする鶴岡孝子さん(71)と知り合った。被爆者でもある鶴岡さんが、川下さんの作品を広めたいと展示を勧め、約10カ月かけて作品作りも指導。桜吹雪や飼っていた文鳥とのふれあいなど、ノートに書きためた原案の絵と詩を色紙に描き直すなどした。

 川下さんが作詩を始めたのは2002年ごろ。何げなく書いた一編を読んだ母兼子さんからの「上手。ずっと書けばいいよ」との言葉がきっかけだった。「見た人に、戦争も核兵器も全部なくなってほしいという思いが伝わってほしい」と願う。

 作品は販売し、売り上げの一部は同会の活動費に充てる。入場無料。月曜休館。ギャラリーTel082(221)5401。

(2016年5月17日朝刊掲載)

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