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社説・コラム

[被爆者からオバマ氏へ] 核廃絶 決心と勇気を 小倉桂子さん=広島市中区

  ≪8歳の時、爆心地から約2・4キロの自宅近くの路上で被爆。広島を訪れる海外の平和活動家らの通訳・コーディネーターや、英語での被爆証言を続けている≫
 米国の現職大統領がヒロシマの地に立つだけで核兵器廃絶に向けた大きな一歩になる。米国内に批判的な世論がある中での決断に、ありがとうと言いたい。

 一人の人間として平和記念公園の原爆慰霊碑の前に立ってほしい。公園になった場所はもともと繁華街だった。そこで多くの人が亡くなった。公園内の原爆供養塔には、引き取り手のない約7万人の遺骨が眠っている。原爆の恐ろしさ、被爆者の嘆き…。湧き上がる声を感じてほしい。そして大統領として何をすべきかを考えてもらいたい。

 被爆地広島を訪れる前と後で人は変わる。二度と被害が起きないよう、良心に従って動かないといけないことを悟るからだ。

 残念なことにプラハ演説後、核兵器を巡る世界の状況はあまり変わっていない。私たちが望むのは核兵器の削減ではなく廃絶だ。それが憎しみや苦しみを乗り越え、被爆者が願うことだ。影響力のあるオバマ大統領に世界を導いてもらいたい。決心と勇気を、ここヒロシマで得てほしい。

 オバマ氏の旗印は「チェンジ(変革)」。広島訪問の後、核兵器廃絶に向けたチェンジがあると信じている。帰国後は、米国のたくさんの若者にヒロシマを訪れるよう呼び掛けてほしい。(増田咲子)

(2016年5月16日朝刊掲載)

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