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「韓国のヒロシマ」初の平和大会 陜川から非核化訴え 原発事故・政策を問う

 【陜川(ハプチョン)郡(韓国)田中美千子】戦後に広島から帰国した被爆者が多く「韓国のヒロシマ」と呼ばれる韓国慶尚南道陜川郡で23日、非核・平和大会が開幕した。2日間の日程で、広島から被爆者や被爆者医療に携わる医師たちが出席。核被害のない世界の実現へ思いを新たにする。

 大会は福島第1原発事故などを受け、韓国の被爆者支援団体「陜川平和の家」が初めて企画。会場の郡文化芸術会館には約500人が集まった。長崎の被爆者や福島県民、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の被曝(ひばく)者も招待された。

 開会式で大会組織委員長の徐勝(ソスン)立命館大特任教授(比較人権法)が「福島第1原発事故で核の恐ろしさを再認識した今、この地から核なき世界を訴えよう」とあいさつ。地元の子どもと被爆者、被爆2世でつくる合唱団が平和の歌を披露した。

 福島県出身で東京大大学院の高橋哲哉教授(哲学)が基調講演。日本政府の原発政策を「『安全だ』と国民をだまし、犠牲にしないと成立しない」と批判した。

 最終日の24日は核被害者の証言大会などがあり、非核・平和宣言を採択する。広島県被団協(金子一士理事長)常任理事の矢野美耶古さん(80)=広島市西区=は「同じ被爆者なのに援護から取り残されてきた人たちの戦後をじっくり聞きたい」と話していた。

(2012年3月24日朝刊掲載)

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