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[変わる街] 平和大橋 歩いて鑑賞 新歩道橋 18年度完成 

デザイン専門家「平和の願い継承を」

 広島市中区の元安川に架かる平和大橋の北側で、歩道橋の新設が進んでいる。彫刻家イサム・ノグチ(1904~88年)がデザインした橋の欄干を生かしながら、狭かった歩道は広がり、ゆったりと歩ける空間に生まれ変わる。すでに市が橋台工事に着工し、2018年度に完成する予定だ。(滝尾明日香)

 「新しい歩道橋は、橋を美術として鑑賞できる空間となる。歩きながら、イサム・ノグチのデザインに思いをはせてほしい」。歩道橋のデザインについて助言する市都市デザインアドバイザー会議の座長で、広島大大学院の岡河貢准教授(建築設計学)は強調する。

 平和大橋の北側に接して設ける歩道橋は長さ86・0メートル、幅5・7メートル。歩行者用に幅3・5メートル、自転車用に同2・0メートルのレーンをそれぞれ設ける。北側の欄干はデザインが見えるよう透明の強化ガラスを使う。

 現在の歩道の幅は1・8メートル。観光客のほか、通勤通学路、生活道としても歩行者や自転車が利用し、朝夕を中心に混雑する。市は08年度に歩道橋の新設を決めた。現在の北側歩道をなくし車道を広げる。

 平和大橋は1952年3月に完成した。デザインしたイサム・ノグチは日本人の父と米国人の母を持ち、第2次世界大戦中は米国の日本人収容所に入り、戦争に翻弄(ほんろう)された。岡河准教授は「デザインに込めた平和への思いを受け継いでいく場にしたい」と話している。

(2016年5月18日朝刊掲載)

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