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被爆者との面会を オバマ氏訪問 日本被団協が要望書

 日本被団協(東京)は18日、広島市を27日に訪れるオバマ米大統領に対し、被爆者の話を聞き、原爆被害の実態に触れるよう求める要望書を、ホワイトハウスと在日米大使館へ送った。被団協は運動の指針として米国政府に被爆者への謝罪を求めてきたが、今回は盛り込まなかった。

 オバマ氏が訪問時に被爆者と面会する可能性については、米政府当局者が「時間の制約があり難しい」との見方を示している。要望書では「筆舌に尽くせない生き地獄を体験した被爆者の話を聞き、核兵器のない世界を、との意欲を持ってほしい」と訴えている。

 このほか、2009年4月のプラハ演説に掲げた「核兵器のない世界」の実現に向けた努力▽核軍縮に関する国連の作業部会への参加▽包括的核実験禁止条約(CTBT)の任期中の批准―についても求めた。

 被団協は1984年に発表した「原爆被害者の基本要求」で、米国政府に対し、原爆投下が国際法に違反すると認め、被爆者へ謝罪するよう訴えている。今回の要望に盛り込まなかった理由について、被団協事務局は「基本要求の理念は変わらないが、大統領訪問の妨げになるなら謝罪は求めない、と言う被爆者もいる。十分議論する時間もなく、幅広い合意が得られる内容にした」と説明する。

 田中熙巳(てるみ)事務局長(84)は「原爆に子を奪われた親たちは強烈に謝罪を求めてきた」と指摘。「オバマ氏には、そういう思いを受け止め、核兵器廃絶を決意してほしい。日米政府は『未来志向の訪問』と言うが、過去を見つめずに未来は語れない」と話している。(田中美千子)

(2016年5月19日朝刊掲載)

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