×

ニュース

オバマ氏5・27ヒロシマへ 原爆死没者 ここで待つ 慰霊碑名簿110冊 風通し

 オバマ米大統領を27日に迎える広島市中区の平和記念公園で18日、原爆慰霊碑に納められた110冊の原爆死没者名簿を外気に当て湿気を取る「風通し」があった。梅雨入り前の市の恒例行事。被爆71年のことしは歴史的な一日を控えたタイミングとなった。

 原爆が投下された午前8時15分、市職員19人が慰霊碑に黙とうをささげ、作業開始。碑前に白い布を敷き、石室から取り出した名簿を並べた。青空の下、傷みがないか確かめながら和紙のページを丁寧にめくった。近くでは、オバマ氏の訪問を前に警戒に当たる制服姿の警察官もいた。

 平和学習で訪れた岡山県早島町の早島中2年秋山歩貴(いぶき)さん(13)は「大勢の市民が犠牲になった。大統領は碑前で核兵器をなくすと誓ってほしい」と話した。

 名簿は昨年から5359人が書き足され、2冊増えた。110冊のうち108冊には、昨年8月5日までに亡くなった広島の被爆者29万7684人の名前や死没年月日を書いている。別の1冊には遺族が望んだ長崎の被爆者9人を載せ、残る1冊には「氏名不詳者多数」と記す。

 市は、広島の最新の1冊(479人分)と長崎の1冊を除いて、清掃した石室に戻した。昨年8月6日以降に亡くなるか、死亡が確認された被爆者分を来月上旬から記帳し、8月6日の平和記念式典で納める。(森戸新士)

(2016年5月19日朝刊掲載)

年別アーカイブ