×

ニュース

タクシー乗務員へ奮闘 米国人マーフィーさん 岩国の会社で研修

 山口県岩国市玖珂町の米国人ドナルド・マーフィーさん(49)が、同市通津の通津タクシーでドライバーを目指し、研修に励んでいる。米国籍のタクシー乗務員は県内初となる。「心を込めたサービスをしたい」とデビューを心待ちにしている。(大村隆)

 マーフィーさんは米国ペンシルベニア州出身。1985~87年と、89年、90年に米海兵隊岩国基地へ赴任していた。除隊後も岩国に暮らし、91年から1年4カ月、同社のグループ会社で運転代行の随伴車乗務員として勤務。その後、運送会社でトラック運転手を続けていた。

 ことし2月、市内のスーパーで偶然、通津タクシーの隅泰男社長(82)と再会し、タクシー乗務員として誘われた。今月1日に2種免許の技能試験に合格。2日に県運転免許センター(山口市)で学科試験に挑んだが、日本語の読解に手間取り、不合格だった。

 社員の指導で日本語を猛勉強。問題文を繰り返し解いたり、ノートに交通用語をローマ字で書き写したりした。連日深夜まで自習も重ね、「海兵隊の訓練の次にきつかった」と苦笑する。

 だが、受験は失敗続き。5度目の挑戦に失敗した際には「もう無理だと泣いた」。隅社長たちから励まされ、13日に6度目で合格した。「信じられなかった」。今度はうれし涙がこぼれたという。

 25日に山口市の県自動車会館で、地理や法令、接遇などの最終試験に合格すれば、念願の運転者証が交付される。県タクシー協会は「米国籍の運転手は県内にはいない。過去にもいなかったと思う」と言う。

 現在、マナー研修などに励むマーフィーさんは「また乗りたいと思ってもらえる心のこもったサービスをしたい」と意気込む。隅社長は「素直で明るい性格は昔のまま。岩国基地への艦載機移転で増える、米国人への対応も安心して任せられる」と期待している。

(2016年5月20日朝刊掲載)

年別アーカイブ