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核廃絶のステップに 被団協の田中事務局長 オバマ氏27日広島訪問

 日本被団協の田中熙巳(てるみ)事務局長(84)は19日、東京都内の日本記者クラブでオバマ米大統領の広島訪問について記者会見した。オバマ氏が原爆被害への理解を深める場となるよう期待を寄せつつ、「日米軍事同盟を強くしなければいけないと言うために利用されれば、私たちの願いと違う」と懸念を表明した。

 田中氏は、「核兵器のない世界」を掲げたオバマ氏が実積を残せなかったとして「7年間、裏切られた思いだった」と強調。「残りの任期中に大統領として行使できる権限全てを使い、核兵器廃絶のためのステップをつくってほしい」と訴えた。日本の憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認に触れ、日米同盟強化につながる可能性があるとの警戒感も示した。

 被団協は、広島訪問を前にオバマ氏に送った要望書に被爆者への謝罪を盛り込まなかった。田中氏は「原爆被害者に謝ってほしい気持ちはある。核兵器廃絶の先頭に立ってほしいと願い、ぐっと抑えている」と複雑な思いを語った。(田中美千子)

(2016年5月20日朝刊掲載)

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