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核テロ防止策を協議 安保サミット ソウルで開幕

 【ソウル田中美千子】核テロ防止に向けた具体策を協議する第2回核安全保障サミットが26日夕、ソウルで開幕した。27日まで2日間の日程で、53カ国の首脳たちと四つの国際機関の代表が参加。放射性物質の管理や防護策強化のほか、福島第1原発事故を受けた原子力施設の安全策などを討議する。

 歓迎式典に続くワーキングディナーには、サミットを主宰する韓国の李明博(イミョンバク)大統領やオバマ米大統領、ロシアのメドベージェフ大統領、胡錦濤中国国家主席たち54人が出席した。野田佳彦首相は26日夜にソウル入り。27日朝の討議から加わる。

 サミットは核テロを国際社会の最大の脅威の一つと位置付ける米国の呼び掛けで2010年4月、ワシントンで第1回会議を開催。核兵器の原料になる高濃縮ウランの民生分野での使用抑制やプルトニウムの管理徹底などを盛り込んだ作業計画を採択した。

 26日のワーキングディナーでは、米ロ韓など13カ国・機関の首脳たちがその後の取り組みを報告。高濃縮ウランの保有量の削減や核テロの対策拠点の設置などの成果をアピールした。

 野田首相は27日、福島第1原発事故の教訓を紹介。原発テロ対策の強化を表明する。同日夕、協議の成果をまとめた共同コミュニケを採択する。

 また有志国により分野別の研究グループを六つつくり、日本は放射性物質の輸送時の安全策を検討するグループの中心になる予定だ。

 国際社会と対立し核開発を進める北朝鮮とイランは参加しない。北朝鮮は共同コミュニケなどが同国の核問題に触れれば「宣戦布告とみなす」と警告、韓国は厳戒態勢を敷いている。韓国側は「個別の国の核問題は扱わないが、サミットの開催が北朝鮮に核物質を放棄しなければならないとのメッセージとなる」としている。

核安全保障サミット

 世界に散らばる核物質の保安体制確立を目指しオバマ米大統領が呼び掛け実現。第1回は2010年4月、ワシントンで47カ国などが参加し開かれ、管理の甘い核物質の安全を4年以内に確立することを盛り込んだコミュニケを採択した。米国は国際テロ組織が核物質を入手して核テロを実行することを強く懸念。オバマ政権高官は「前回の核安保サミットで各国に課された義務の80%が既に完了した」と評価している。

(2012年3月27日朝刊掲載)

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