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核燃搬出計画に疑問の声 島根原発廃炉で県安全対策協 知事、規制委申請否定せず

 中国電力が島根原発1号機(松江市鹿島町)の具体的な廃炉工程を示した廃止措置計画の提出に向け、島根県や松江市に事前了解を要請したのを受け、県は20日、県民や県議、原発30キロ圏の市長たちでつくる県安全対策協議会(安対協、会長・溝口善兵衛知事)を松江市で開いた。廃炉自体への異論は出なかったが、使用済み核燃料の搬出の現実性について疑問の声が相次いだ。(秋吉正哉)

 委員68人のうち43人が出席。冒頭であいさつした溝口知事は「(廃炉などの)安全性については、原子力規制委員会に審査してもらう必要がある」とした。規制委への申請自体は否定せず、審査終了後に改めて判断する方針を示した。

 その後、中電島根原子力本部の古林行雄本部長たちが、1号機内の使用済み核燃料722体を2029年度末までに敷地外へ搬出し、45年度末までに全作業を終えるとした計画を説明した。

 発言した委員3人は、使用済み核燃料の搬出に青森県六ケ所村の再処理施設稼働を前提としていることを問題視した。ある委員は「施設が稼働しても、燃料から生成するプルトニウムがたまる一方になる」と指摘。古林本部長は「(プルトニウムを消費する)プルサーマル発電は、全国の発電所で十分な実績がある」と答えた。

 終了後、溝口知事は「(県の方針について)了解は得られたのではないか」との認識を示す一方、「県議会や関係自治体、県民の意見を聞いて最終的に決定する」とも述べた。

 安対協の前には、原子炉工学などの専門家でつくる県原子力安全顧問会議(17人)があり、7人が出席。顧問は「解体を進める間、建物の耐震性をどう確保するか」などと質問した。中電側は「原子炉建屋は十分な強度を持って設計されている」と応じた。

(2016年5月21日朝刊掲載)

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